工場の防災は「相談役」を持つとコスパ良し|顧問・社員研修・防災管理者講習

皆さん、こんにちは。Fire Risk Managementの松永浩行です。

「消防の書類は、去年きちんと出したから、うちはもう大丈夫」——工場を回っていると、この一言をよく聞きます。今日は、この安心がいちばん危ない、という話をします。私は取り締まる側で査察を約30年、5,000件以上やってきました。その経験から言えば、防災は一度整えて終わるものではなく、”回し続ける”仕組みが要るものです。そして、その仕組みは、防災全般の相談役(顧問)と社員研修でつくれます。

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なぜ「一度整えた」では守れないのか

去年は完璧だった工場が、今年の査察で指摘を受ける。これは珍しくありません。理由は3つです。

  • 人が入れ替わる:防火管理者や危険物取扱者、消防計画をつくった担当者が、異動や退職でいなくなる。書類の名義だけ残って、中身を分かっている人が現場に一人もいない、という状態です。
  • モノが動く:生産品目が変わり、扱う溶剤・塗料・油の種類や量が変わる。避難通路にいつの間にか資材が積まれる。防火扉の前に台車が置かれる。現場は生き物で、放っておけば必ず動きます。
  • 法令・制度が変わる:消防法令や、危険物の運用、補助金・税制の要件は改正されます。去年の正解が、今年も正解とは限りません。

査察で私がいちばん多く見たのは、設備そのものの故障ではなく、この「体制の抜け」でした。誰も悪気はない。ただ、整えた状態を保つ人と仕組みが、社内になかった。それだけです。

単発の手続き代行と、防災の「相談役」は別物

防災を外に頼むとき、多くの会社は「書類が必要になったら、そのつど代行を頼む」という単発の形をとります。もちろん、それで足りる場面もあります。しかし、単発の代行は「その一枚を仕上げる」ことはできても、「整えた状態を保ち続ける」ことはできません。 頼んだ人は、書類を納品したら現場を離れるからです。

一方、防災の相談役(顧問)を持つというのは、書類の一枚ではなく、工場の防災そのものを一緒に見続けるということです。人が替わったら引き継ぎを整え、モノが動いたら数量と通路を見直し、法令が変わったら影響を教える。立入検査が来ても慌てない状態を、日常として保つ。 これが、単発代行との決定的な違いです。

私はこれを「防災を回り続ける仕組みにする」と呼んでいます。

仕組みは、人が動かす――だから社員研修が要る

もう一つ、外から抜け落ちがちなのが社員研修です。どれだけ立派な消防計画やBCP(事業継続計画)をつくっても、それを動かすのは現場の人です。紙は火を消しません。人が動いて初めて計画は生きます。

  • 避難訓練を「毎年同じ段取りで、ただ歩くだけ」で済ませていないか
  • 新しく入った人が、消火器の場所と、いざというときの持ち場を知っているか
  • 危険物を扱う担当者が、「今、指定数量の何倍を貯蔵・取扱いしているか」を言えるか

こうした一つひとつを、現場の言葉で腹落ちさせるのが研修です。私は、防火管理者・防災管理者向けの講習をさせていただく機会も多いのですが、取り締まる側が「どこを見て、何で落とすか」、「災害時の行動を日常的に知っている人間だからこそ」を可視化、言語化することを意識して行なっています。

(なお、火災を対象とする防火管理者(消防法第8条)と、地震などの災害も対象とする防災管理者(同法第8条の2の5)は、別の制度です。どちらの選任義務があるか、規模の要件はどうかは、建物の区分によって異なります。この見極めから、ご相談で整理します。)

これは「コスト」ではなく「投資」――経営の損得で見る

顧問や研修を、「毎月お金が出ていくコスト」と捉えると、話は続きません。そうではなく、経営の損得で見てください。

考え方はシンプルです。防災を回す仕組みを持つ費用と、その仕組みが無かったときに失うものを、天秤にかける。後者は、火災による設備の損害だけではありません。操業停止による売上、納期遅れで失う取引先の信用、そして従業員の安全——止まれば、これらが同時に危うくなります。仕組みを持つ費用は、この損失に比べれば、はるかに小さい。いちばん安い保険だと、私は考えています。

しかも、備えには「返ってくる」道もあります。防災・減災の投資には、「事業継続力強化計画」の認定を受けることで、防災設備の税制優遇や、補助金の加点、低利融資といった支援につながる制度があります(要件・内容は制度改定で変わるため、その時点での確認が必要です)。この認定申請は行政(経済産業局)への手続きであり、行政書士として私が引き受けられる領域です。「やらされる備え」を「返ってくる投資」に変える——ここまで含めて設計するのが、相談役の仕事です。

査察官が現場に立ったとき、最初に見るのは消火器の位置ではありません。「いざ火が出たとき人が逃げられるか」「危険物が正しく管理されているか」「書類が現場の実態と合っているか」——ここです。どこで落ちるか、何が指摘につながるかを、5,000件の現場で体に染み込ませてきました。だから、査察で落とされない備えを、絵空事ではなく現場の実態に合わせて組める。同じ理由で、中身のある本物のBCPもつくれます。ひな形を埋めただけの、分厚いだけの計画とは違います。

まずは「今どういう状態か」を、一緒に見ます

「うちの防災、今どうなっているのか正直分からない」——その段階でのご相談を歓迎します。きっと、新しい発見が見つかると思います。

  • 単発のスポット相談(立入検査が近い、書類を見てほしい、等)から入っていただいて構いません
  • 社員研修・防災管理者/防火管理者の講習のご依頼も承っています。現場に合わせて組み立てます
  • 継続的な相談役(顧問)として、防災を「回り続ける仕組み」にするお手伝いもします
  • 拠点は問いません。全国オンラインで対応しています

まずは自社の現在地を知るところからです。
ご相談はこちらのお問い合わせから、現場の状況を一言添えてお送りください。

防災は、一度整えて終わりではありません。回り続ける仕組みにして、初めて会社を守れます。 その仕組みづくりを、一緒に進めましょう。

※本記事は一般的な情報提供です。防火管理者・防災管理者の選任義務や規模要件、各種制度の税制・補助の内容は、建物の区分や制度改定により異なります。個別の対応は所轄・関係機関への確認のうえ進めます。

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