防災訓練のマンネリ化を防ぐ|AIを”防災パートナー”に毎回動く訓練へ

皆さん、こんにちは。Fire Risk Management(FRM)((ファイヤーリスクマネジメント)の松永浩行です。

今年の防災訓練、去年とまったく同じ段取りで終わりませんでしたか。同じ日時、同じ経路、同じ「はい、避難完了」。——もしそうなら、その訓練はマンネリ化しています。今日は、なぜ防災訓練がマンネリ化するのか、そしてAIを”会社の防災パートナー”にして、毎回きちんと動く訓練に変える方法をお話しします。これは、私がいま進めている「AIがあなたの会社の防災パートナー」という考え方の、最初の一歩です。

目次

防災訓練が「マンネリ化」する本当の理由

まず、なぜマンネリ化するのか。査察で多くの工場を見てきて、理由はだいたい共通しています。

毎年、同じシナリオを繰り返しているからです。同じ時間帯(たいてい昼間)、同じ出火場所の想定、同じ避難経路。参加する人は手順を暗記していて、頭を使わずに体が動く。これは一見スムーズですが、「訓練をこなすための訓練」になっている状態です。

もう一つは、訓練が「やって終わり」になっているからです。何分で避難できたか、どこで詰まったか、次に何を直すか——ここが記録されず、翌年また同じことを繰り返す。改善が挟まらないから、永遠に同じ訓練が続きます。

マンネリ化とは、要するに「想定が動かないこと」と「振り返りが無いこと」の2つから生まれます。

マンネリな訓練は、いざというとき動かない

「毎年やっているんだから、いいじゃないか」——そう思われるかもしれません。しかし、取り締まる側にいた人間として、はっきり申し上げます。マンネリ化した訓練は、本番で動きません。

理由は単純です。実際の火災や地震は、訓練どおりの時間・場所では起きないからです。

  • 出火が、いつもの想定と違う場所だったら、避難経路はふさがれていないか
  • 夜間や休日、その区画に数人しかいない時間に起きたら、誰が通報し、誰が初期消火するのか
  • 停電で、シャッターが手動でしか開かないとき、段取りは変わらないか

昼間・多人数・決まった経路——いちばん条件のいいときしか訓練していない工場が、とても多い。これは、査察で現場を見ればすぐに分かります。本当に危ないのは、条件が悪いときです。そこを一度も訓練していない訓練は、「やった」という記録が残るだけで、いざというときの備えにはなっていません。

AIを「防災パートナー」にすると、訓練は毎回変えられる

では、どうすればマンネリを破れるのか。答えは、想定を毎回動かすことです。とはいえ、「毎年ちがうシナリオを人の手で考える」のは、面倒で時間がかかる。だから続かない。ここに、AIが効きます。

私は、AIを会社の”防災パートナー”として使うことを提案しています。使い方はこうです。

  1. 自社の条件を、AIに細かく読み込ませる(建物、階数、時間帯別の在席人数、危険物の有無と置き場、設備の癖、周辺環境)。これが、その会社独自の防災計画・予防体制の土台になります。
  2. その条件から、訓練のシナリオをAIに作らせる。今年は「夜間・少人数・危険物置き場付近から出火」、来年は「休日・停電・別の階」——想定を毎回動かせます。
  3. そこに、私が査察30年で見てきた「事故はどこで、どう起きるか」の着眼点を、プロンプトとして載せておく。すると、ただの機械的なシナリオではなく、現場でありうる事態が出てきます。

AIは、条件を変えて場合分けを網羅するのが得意です。人間が面倒がってやらない「毎回ちがう想定」を、いくらでも作れる。そこに現場の目を載せることで、はじめて”動く訓練”のシナリオになります。 この考え方と、実際に配布しているプロンプトについては、AIで防災計画は作れるか|消防30年の経験を載せたプロンプトにまとめています。

訓練は「やって終わり」にしない――記録とPDCA

シナリオを動かすのと同じくらい大事なのが、振り返りです。マンネリ化のもう半分は、ここが抜けていることから来ます。

訓練のたびに、最低限これだけは記録してください。

  • 通報・初期消火・避難の各段階に、何分かかったか
  • どこで詰まったか(経路、扉、人員、連絡)
  • 次までに何を直すか(1つでいい)

これを残して、次の訓練で「前回の課題は解消したか」を確かめる。計画して、訓練して、記録して、直す。このPDCAが回り始めると、訓練は毎回ちがう意味を持ちます。 そしてAIパートナーは、この記録を蓄積し、次のシナリオに反映していくので、使うほどその工場に合っていきます。 担当者が替わっても、積み上げた記録が残るので、訓練が振り出しに戻りません。

これは「安全活動」ではなく、経営の備え

最後に、経営の損得に翻訳します。防災訓練を「消防に言われてやる、毎年恒例の行事」と捉えると、どうしてもマンネリ化します。そうではなく、訓練は、いざというときに操業の止まる時間を短くするための投資です。

火災や地震で工場が止まれば、失うのは設備だけではありません。操業停止のあいだの売上、納期遅れによる取引先の信用、従業員の安全——同時に危うくなります(損失額は業種・規模で変わるため、あくまで試算・目安です)。本当に動く訓練を積んだ工場は、この「止まる時間」を短くできる。同じ手間をかけるなら、“こなすための訓練”ではなく、”止まる時間を縮める訓練”にしたほうがいい。

しかも、こうした防災・減災の体制づくりには、「事業継続力強化計画」の認定を通じて税制・補助の支援につながる道もあります(要件・内容は制度改定で変わるため、その時点での確認が必要です)。やらされる訓練を、返ってくる投資に変える——ここまで設計するのが、防災を経営の武器にするということです。顧問・社員研修という形での関わり方は、工場の防災は「相談役」を持つと回り出すにまとめています。

まずは「今の訓練」を一緒に棚卸しします

「毎年同じ訓練になっている」「本番で動く気がしない」——その段階でのご相談を歓迎します。まず、今やっている訓練の段取りを見せてください。 どこがマンネリ化していて、どの想定が抜けているかを、プロの視点で一緒に洗い出します。

  • 今の消防計画・訓練のやり方を拝見し、次の訓練からシナリオを動かす設計をお渡しします
  • AIを”防災パートナー”にする使い方、現場に合わせた社員研修も承っています
  • 拠点は問いません。全国オンラインで対応しています。まずはこちらのお問い合わせから、現状を一言添えてご連絡ください

去年と同じ訓練を、もう一年繰り返す前に。その訓練が本番で動くかどうかを、一度だけ、一緒に確かめてみませんか。

── 運営者 ──

Fire Risk Management(ファイヤーリスクマネジメント|略称 FRM)

代表 松永浩行/消防行政約30年・立入検査の実務/防火・防災管理講習 講師/行政書士/経営大学院(MBA)在籍

工場・危険物施設の防災を、経営の武器に変える防災コンサルティングです。防災経営診断・BCP策定支援・消防の届出代行・防災経営顧問まで、全国オンラインで対応しています。

▶ 業務内容 https://fire-risk.jp/business-activities/ / ▶ ご相談・無料相談 https://fire-risk.jp/contact/

※本記事は一般的な情報提供です。防災訓練の種類・回数の要否は、建物の用途・規模や消防計画により異なります。個別の対応は所轄消防への確認のうえ進めます。

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