
\ 建設業許可・産業廃棄物許可等はこちら /

ご相談・ご質問はお気軽に

皆さん、こんにちは。Fire Risk Management(FRM)(ファイヤーリスクマネジメント)の松永浩行です。
最近、AIの話をする機会が増えました。防火・防災管理の講習でも、工場からのご相談でも。そのたびに、私は同じことをお伝えしています。「AIは、もう差別化になりません」と。今日は、防災にAIをどう使うか——正確には、AIに任せてはいけない部分はどこか、そして私がなぜ「AIを”売り”にしない」のかを、正直にお話しします。
数年前なら、「AIで防災計画を作ります」は目新しかったかもしれません。でも、これからは違います。AIは、電気や水と同じ、インフラになるからです。誰もが当たり前に使うようになれば、「AIを使っています」という言葉は、すぐに横並びになります。
だから私は、AIそのものを売りにするつもりはありません。差別化になるのは、AIの外側——そのAIに”何をさせるか”を決める判断の方です。ここを取り違えると、道具に振り回されて終わります。
AIに「工場の防災計画を作って」と頼むと、それらしいものが出てきます。避難経路、連絡体制、役割分担の表。読むと、もっともらしい。ところが、査察で現場を見てきた側からすると、「この計画は、その日に動かない」と分かることがあります。
理由は、AIが出すのが一般的な答え、いわば平均点の答えだからです。これは防災に限った話ではありません。私は大学院(MBA)でマーケティングとAI等を学んでいますが、そこでも痛感します。AIに、マーケティング全てを”させて”はいけない。 聞けば、きれいで一般的な回答は返ってくる。けれど、会社が100あれば、マーケティングも100通りです。立地も、客層も、強みも、社長の覚悟も、ひとつとして同じ会社はないからです。
防災も、まったく同じです。工場が100あれば、防災も100通り。 夜間はその区画に数人しかいない、危険物の置き場が避難経路のすぐ脇にある、停電するとシャッターが手動でしか開かない——こうした固有の事情は、図面にも一般論にも載っていません。それを織り込まないまま「平均的な計画」を作れば、本番では動かないのです。
では、AIをどう使えばいいのか。ポイントは2つです。
1つは、AIに”何をさせるか”を正しく決めること。プロンプト(指示)の細かい書き方の話ではありません。どこに、何のために向けるか、という構想の部分です。ここは、現場を知らないと決められません。
もう1つが、実はいちばん大事で、AIの答えに疑問を持てる力です。「これは、本当にうちに当てはまるのか?」と、一度立ち止まれるかどうか。AIは、堂々と、もっともらしく間違えます。その答えを鵜呑みにする人が使えば、平均に飲まれる。疑える人が使えば、AIは強力な道具になる。この差を生むのが、知識と経験です。
私がAIを使う原点も、ここにあります。消防で30年、立入検査で見てきた「事故は、どこで、どう起きるか」を、一つずつプロンプトに打ち込み、目に見える形にしていく。 査察官が現場で何を見て、どこを疑い、何を突くのか——その着眼点を、AIに教え込むわけです。
すると、AIは「平均的な計画」ではなく、その会社の条件に合った防災計画を返すようになります。しかも、使うほどに記録が積み上がり、一緒に育っていく”企業防災AI”になっていく。担当者が替わっても、積み上げた中身は残ります。この考え方と、実際に配っているプロンプトについては、AIで防災計画は作れるか|消防30年の経験を載せたプロンプトにまとめています。
正直に言えば、これで出てきたものが、そのまま完成品になるわけではありません。最後は人が現場を見て詰める。けれど、白紙から作るのと、経験を載せたたたき台があるのとでは、進み方がまるで違います。
ここまでを、経営の損得に翻訳します。AIに任せきりの「平均的な防災」は、一見、手軽で安く見えます。でも、本番で動かなければ、いざというときに操業の止まる時間を縮められません。止まれば、設備だけでなく、売上も、取引先の信用も、従業員の安全も、同時に危うくなります(損失額は業種・規模で変わるため、あくまで試算・目安です)。
一方、経験を載せて育てた防災は、その”止まる時間”を短くします。 同じAIを使うのに、中身は正反対になる。AIを事業にどう使っていくかを考える時間は、正直、起業(スタートアップ)に似ていて、可能性は無限大です。その可能性を、御社の現場で具体的な形にする——それが、私の仕事です。防災を回り続ける仕組みにする話は、工場の防災は「相談役」を持つと回り出すもあわせてどうぞ。
「AIで作ってはみたが、これで動くのか不安」「そもそも何から手を付けていいか分からない」——その段階でのご相談を歓迎します。まず、今の防災計画や訓練のやり方を見せてください。 どこが”平均的な一般論”のままで、どの固有の事情が抜けているかを、査察の視点で一緒に洗い出します。
AIは、防災の面倒な部分を、確かに軽くしてくれます。けれど、その答えを疑い、御社の現場に合わせて仕上げるところは、経験のある人間の仕事です。そこを、一緒にやりましょう。
── 運営者 ──
Fire Risk Management(ファイヤーリスクマネジメント|略称 FRM)
代表 松永浩行/消防行政約30年・立入検査の実務/防火・防災管理講習 講師/行政書士/経営大学院(MBA)在籍
工場・危険物施設の防災を、経営の武器に変える防災コンサルティングです。防災経営診断・BCP策定支援・消防の届出代行・防災経営顧問まで、全国オンラインで対応しています。
▶ 業務内容 https://fire-risk.jp/business-activities/ / ▶ ご相談・無料相談 https://fire-risk.jp/contact/
※本記事は一般的な情報提供です。防災・BCPの具体的な要件や制度の内容は、建物の用途・規模や制度改定により異なります。個別の対応は所轄消防・関係機関への確認のうえ進めます。
コメント