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皆さん、こんにちは。Fire Risk Management(FRM)(ファイヤーリスクマネジメント)の松永浩行です。
先日、防火・防災管理講習で講師を務めてきました。テキストを前に、受講される方々の顔を見ながら話していて、あらためて感じたことがあります。
制度の説明は、テキストを読めば分かる。分からないのは「うちの現場で、実際に何が起きるのか」のほうだ。
私は、MBA(大学院経営管理研究科)でAIも学んでいるのですが、今日は、その「実際に何が起きるのか」を、AIにどこまで任せられるのかという話をします。結論から申し上げると、AIと防災は、非常に相性がいいと考えています。ただし、条件が一つあります。
防災の実務には、AIが得意な作業がたくさんあります。
正直なところ、このあたりは人間より速く、しかも抜けが少ないです。防災計画づくりが進まない最大の理由は「面倒で、時間がかかるから」ですから、そこが軽くなるのは大きい。使わない手はありません。
一方で、AIには決定的に持っていないものがあります。
その現場で、実際に何が起きるかという想定です。
AIに「工場の防災計画を作って」と頼むと、それらしいものが出てきます。避難経路があり、連絡体制があり、役割分担の表もある。読むと、もっともらしい。
ただ、査察で現場を見てきた側からすると、「この計画は、その日に動かない」と分かってしまうことがあります。理由は単純で、その工場に固有の事情が入っていないからです。
これらは、図面にも書式にも載っていません。現場を歩いて、初めて分かることです。 そしてAIは、現場を歩けません。
ここが今日いちばんお伝えしたいところです。
AIが作った計画が動かないのは、AIが劣っているからではありません。渡している入力が足りないからです。
これは、ひな形(テンプレート)に会社名を流し込んだだけの計画が動かないのと、まったく同じ構図です。この話は「BCPが「使えない」で終わる理由|中身のある事業継続計画の見分け方」でも書きました。器の問題ではなく、中身の問題です。
裏を返せば、「何を聞き出し、何を想定させるか」を正しく指示できれば、AIは相当に良い仕事をします。 私が試してきた限り、ここの差が決定的でした。
そこで作ったのが、防災の想定と計画をAIに作らせるためのプロンプトです。
私は消防行政に約30年おり、立入検査で現場を見て、書類を審査する側にいました。査察のとき、私たちが何を見て、何を疑い、どこを突くのか。その順番と着眼点を、そのままAIへの指示に落とし込んであります。
具体的には、こういうことをAIにさせます。
事業所ごとに作り分けられるように作ってあります。工場、事務所、倉庫、福祉施設——条件の聞き取りから分岐しますので、業種が違っても使えます。
正直に申し上げると、これで出てきたものが、そのまま完成品になるわけではありません。 最後は人が現場を見て詰める必要があります。ただ、ゼロから作るのと、たたき台が目の前にあるのとでは、進み方がまったく違います。 白紙のまま何か月も止まっている、という状態からは確実に抜け出せます。
冒頭の講習の話に戻ります。
防火管理者(消防法第8条)や防災管理者(同法第8条の2の5)の講習では、制度と書式を学びます。修了すれば資格は得られます。けれども、そこから「自分の事業所の計画を書く」までの間に、大きな段差があります。
受講された方が職場に戻って、白紙のテンプレートを開いて、手が止まる。私はこの段差を、何度も見てきました。制度を知っていることと、自分の現場に落とせることは、別の能力なのです。
AIは、この段差を埋める道具として、いちばん向いていると思っています。だからこそ、そこに現場の目を載せることに意味があります。取り締まる側にいた人間が、何を見て、何を疑うか。それを指示として書けるのは、たぶん私の役割です。
(なお、火災を対象とする防火管理者と、地震などの災害も対象とする防災管理者は、別の制度です。どちらの選任義務があるか、規模の要件はどうかは、建物の区分によって異なります。ここは所轄消防への確認が必要な部分で、ご依頼をお受けした際は当方が確認します。)
このプロンプトを、必要な方にお渡しします。
「うちでも防災計画を作らないといけないが、何から手を付けていいか分からない」「一度作ってみたが、実際に動く気がしない」——そういう段階の方に、まず使っていただきたいと思っています。
ご希望の方は、お問い合わせフォームから「防災プロンプト希望」とだけ書いてご連絡ください。SNSのメッセージでも構いません。業種と、おおよその規模(建物の階数・従業員数)を添えていただけると、その事業所に合う形でお渡しできます。
使ってみて、行き詰まったところがあれば、是非お声がけください。現場を見ないと決められない部分——夜間の人員、危険物の置き方、避難動線の実態——は、そこから先の話です。
顧問・社員研修・講習という形での関わり方は「工場の防災は「相談役」を持つと回り出す」にまとめています。
AIは、防災を止めている「面倒くささ」を取り除いてくれます。取り除いたあとに残る、現場の判断のところ。そこを一緒にやるのが、専門家の仕事だと思っています。
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Fire Risk Management(ファイヤーリスクマネジメント|略称 FRM)
代表 松永浩行/消防行政約30年・立入検査の実務/防火・防災管理講習 講師/行政書士/経営大学院(MBA)在籍
工場・危険物施設の防災を、経営の武器に変える防災コンサルティングです。防災経営診断・BCP策定支援・消防の届出代行・防災経営顧問まで、全国オンラインで対応しています。
コメント
コメント一覧 (2件)
[…] AIは、条件を変えて場合分けを網羅するのが得意です。人間が面倒がってやらない「毎回ちがう想定」を、いくらでも作れる。そこに現場の目を載せることで、はじめて”動く訓練”のシナリオになります。 この考え方と、実際に配布しているプロンプトについては、AIで防災計画は作れるか|消防30年の経験を載せたプロンプトにまとめています。 […]
[…] すると、AIは「平均的な計画」ではなく、その会社の条件に合った防災計画を返すようになります。しかも、使うほどに記録が積み上がり、一緒に育っていく”企業防災AI”になっていく。担当者が替わっても、積み上げた中身は残ります。この考え方と、実際に配っているプロンプトについては、AIで防災計画は作れるか|消防30年の経験を載せたプロンプトにまとめています。 […]